杉本翔子は、豊富な資格を活かし、心と身体を癒すマッサージサロンを開業した。
彼女の右腕として、女性専門の若手マッサージ師チャックが加わり、二人は最高の癒しを提供するため
準備を進めていた。

迎えた開店初日。最初のお客は東京都内に暮らす音羽夫妻だった。
品のある佇まいながらも、どこか思い詰めた表情を浮かべる二人。
彼らの依頼には、深い事情があるようだった。

マリにとって二度目の結婚。
最初の結婚は、夫の不倫が原因で終わった。
だからこそ、今の夫との生活を何よりも大切にし、守りたいと願っている。

恋愛を経て結ばれたこの結婚。彼を心から愛し、共に過ごす日々は幸せそのものだった。
しかし、夫は仕事に追われる毎日で、ゆっくりとした時間を持つことが難しい。

そして迎えた休暇の日。マリは、疲れが滲む夫の顔を見て、少しでも癒せたらと願った。
その思いを込めて、彼には内緒でマッサージ師を手配する。ささやかなサプライズだった。